のんのんびよりのほたるんが引っ越してきた理由―ほたるんは移住計画で引っ越してきた!?―
あっとによる人気漫画『のんのんびより』。
私もこの漫画の大ファンである。
この漫画は東京の都会で暮らしていた女の子一条蛍(ほたるん)が引っ越してきたところから物語がはじまる。
ほたるんは田舎の生活に驚きながらも、れんちょんをはじめ地元の子達と交流することで少しずつ成長していく。
ほたるんはなぜ東京の都会からわざわざ田舎に引っ越してきたのだろうか?
作中では父親の仕事の都合で引っ越してきたとだけ説明されている。
仕事の都合でとあるが、その引越は一時的なものなのか?
私は、のんのんびよりの舞台の村が移住計画を行っており、ほたるんの家族はそのプロジェクトの一環で引っ越してきたのだと睨んでいる。
そう思う理由はたくさんあるが、この記事ではほたるんの家、ほたるんの家族と地域との距離感、ほたるんの親御さんの教育の3点に注目したいと思う。
ほたるんの家
ほたるんの家は二階建ての庭付き一戸建て。ベランダもついている。庭には花壇もあることからお母さんもしくはお父さんがガーデニングや家庭菜園をやっていると思われる。
宮内家や越谷家、富士宮家とは異なり家の作りが新しい。
この家は引っ越してくる際にもともと建っていた家がリフォームされたものなのか新築なのかの二択になるが、漫画版のんのんびより2巻の15話にて「ほたるんち綺麗だなー」とつぶやくなっつんに対して「まあ 築何年もたってるウチと比べるとねー」とこまちゃんが答えているところから新築であることがうかがえる。
漫画版のほたるんの家のディテールは木造のようだ。
このことから最初ほたるんの家は無印良品が提供している木の家だと思った。
アニメ版のほたるんの家はディテールが少し変わっており、積水ハウスやタマホームのようなデザインになっている。
写真を見ると、玄関及び玄関周りへのこだわりも感じられる。
この規模の戸建てを建てようと思ったら住宅だけで1,800万円〜2,000万円はかかってしまう。さらに固定資産税や土地代、日々の光熱費も加算されていくので一条家は一時的な引っ越しではなく、長く住むつもりでこの村に引っ越してきたことがわかる。
さらにほたるんの家の中も注目したい。
ほたるん家の家具は無印良品(を思わせる)家具が多い。
古い家具を使うわけでも、安い家具を使うわけでもなく、無印良品(のような)家具で統一しているところを見ると一条家は無印良品のコンセプトに賛同して買っていると思われる。
無印良品のビジョンは「良品」には、あらかじめ用意された正解はない。しかし、自ら問いかければ、無限の可能性が見えてくる。
である。
さらに注目したいのはほたるんの家の中はアート作品が飾られていることである。
玄関にも階段にもリビングにも作品が飾ってある。
ほたるんの部屋には飾っていないことから、ほたるんの両親の趣味だと思われる。
昨今はアートのある暮らしが注目されている。
というのも、「アートは問題提起。デザインは課題解決」と言われるように、アートは創造性や想像性を育む良きツール(またはパートナー)と考えられているからだ。
このような考えを取り入れた国はフィンランドである。
フィンランド独立100周年記念で開催されたフィンランド・デザイン展は日本中で話題になった。
フィンランドは戦後貧しい期間が続いた。そんな貧しい時代を豊かに暮らそうと思い、生活の中に取り入れたのがアート作品やデザインである。
日本では長らくアートは値段が高いもの、お金持ちの道楽、役に立たないもの、という印象が強かったが、昨今はテクノロジーの発達も相まってアートが身近になり、アートによる豊かな暮らしの実現や町づくりが注目されるようになった。
もちろんほたるんの家が単純にインテリアとして飾っているという可能性は捨てきれないが、高いお金を払って田舎に引っ越してきた点や無印良品の家具を愛用している点なども考慮して、総合的に見ればほたるんの家は「暮らし」にとても関心のある家族であると断言できる。
ほたるんの家族と地域との距離感
ほたるんは実はこの村に初めてやってきたわけではない。
ほたるんの親戚がこの村に住んでいるのである。
だから、ほたるんの両親はこの村の人達と昔から交流があったと思われる。
漫画版のんのんびより5巻36話にてほたるんの両親が地元の道普請に参加する描写がある。
道普請というのは冬の雪解けで汚れた用水路の点検や掃除、道端に伸びてきた植物の枝打ちを村の皆でやることである。
漫画版のんのんびより9巻68話ではほたるんがどんど焼きに来ている。ほたるんの両親が直接やってきている描写はないが、ほたるんが一人でやってくる可能性は低いし、れんちょんがほたるんを見つけた時に少し驚いた表情(待ち合わせをしていなかったことがうかがえる)、どんど焼きが終わったらほたるんはれんちょん家に寄らず家に帰っていることからほたるんの両親もこのお祭りに参加したと思われる。
それがどうしたと思われるかもしれないが、これがとても大切なことなのである。
田舎というのは地域の行事に参加し、地域の人達と繋がれなければ暮らしていて苦しい場所なのだ。
10年位前から日本では田舎暮らしが流行り、「田舎でのんびりした生活をしましょう」とか「田舎で自分のペースで暮らしましょう」とか「田舎の優しさに触れましょう」というキャッチコピーが流行った。
だが、実際は田舎は行事ごとが多いし、集まりも多い。
それらに消極的だととたんに冷たい目で見られるのである。
現在日本では空き家が問題になり、行政は空き家バンクを始めたがなかなかうまくいかない。
その理由は空き家バンクに空き家を登録して、広く住居者を募集した場合、誰が住み着くかわからないからである。
地域のことに興味のない人に住んでもらっては地域の人は困る。
さらに、地域のことも考えずに勝手に空き家バンクに登録して誰かに住んでもらっては、空き家バンクに登録した元の持ち主が冷たい目で見られてしまう(同時に移住者も快く思われない)。
田舎に引っ越すとか、田舎で暮らすというのはとても大変なのである。
移住計画などで最初にターゲットにするのはUターン(地方から都市部へ移動した者が再び地方へ戻ってくること)の世帯にすることが多い。
それは移住者にとっては昔懐かしい村なので勝手がわかっているし、受け入れる側からすれば勝手がわかっている人がやってくるので、双方に最初のコミュニケーションがしやすいからである。
移住者自身の親や親戚が村にいることがあるので、移住者にとっては全く見知らぬ土地に行って暮らすよりハードルが低いのである。
ほたるんの親戚がのんのんびよりの舞台である村にいることから、ほたるんの両親は村に来る度に移住計画の担当者と話をして引っ越しの準備を進めていたと思われる。
ほたるんの親御さんの教育
ほたるんの両親は過干渉ではない適度な放任主義だと思われる。
ほたるんがれんちょんやなっつん達と遊ぶことを何ら禁止していない。
ばりばりの都会暮らしの親御さんなら橋の上から川に飛び込む遊びなど卒倒するほど驚きそうだが、決してそんなことはない。
また、いくら担任の先生がついていくからと行って子ども達だけで沖縄旅行に行くことを許可したのもほたるんの両親の懐の大きさを示しているだろう。
漫画6巻45話では真っ暗な中(先輩と一緒とはいえ)森に星を見に行くことを許可している。
だからといって娘のほたるんに全然関心がないかというと、それも違う。
ほたるんは自主的に宿題をする癖があるようだが、これはやはり両親の教育の賜物だと思う。
漫画の8巻58話にて夕食の際にほたるんのお母さんが「食器運ぶの手伝ってー」と声をかけていることから、日常的に家のお手伝いをさせていることがうかがえる。
漫画3巻20話では料理に詳しい描写があり、漫画11巻82話ではクッキーの作り方を覚えていることから日常的にほたるんはお母さんとキッチンに立っていると思われる。
思うに、ほたるんの両親は我が娘に秘められた特性を見抜き、田舎暮らしを始めたのではないだろうか。
ほたるんは都会の暮らしよりも田舎の暮らしの方が性に合っているのである。
漫画2巻11話では他人の家でご飯を食べることを戸惑いつつも喜んでいるし、漫画6巻44話ではヤモリを見つけて喜んでいる。
漫画5巻38話では(合わせはわかっていないが)誰に教わったでもなく釣りをなんなく始めている。
なにより東京にいた時は携帯電話を持たせていたほたるんの両親が、田舎に引っ越してから持たせなくなった点(漫画7巻54話)はほたるんの両親が田舎暮らしに対してどれだけ積極的で、我が娘が田舎暮らしに興味をもつことをどれだけ楽しみにしているかがうかがえると思う。
以上の理由からのんのんびよりの舞台になっている村は移住計画を推進していて、ほたるんの家族はその移住計画の最初の移住者であると推測できる。
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