ぽんぽんびより

本業は写真家なのに町づくりや震災支援の仕事に巻き込まれてます。

【アニメ・漫画規制】性犯罪と性欲の関係を窃盗と物欲の関係に置き換えるとバカバカしくなる話

久しぶりにtwitterを見ているとこんなツイートが流れてきた。

 リンク先の記事を見るとこんなことが書かれている。

「検査」と称して女性の身体を触ったとして、強制わいせつ容疑などで埼玉県警に再逮捕された男が、成人向け漫画同人誌を読んで手口を真似したという趣旨の供述をしていることが13日、捜査関係者への取材で分かった。

さらに記事の最後の方にはこのように書かれている。

捜査関係者は「表現の自由との兼ね合いもあって難しいところだが、子どもを狙った悪質な事件で、社会に与える影響を考慮して申し入れを行った。今後、ほかの作者の作品が模倣されて犯罪が発生した場合も、同様の申し入れを行うことを検討したい」としている。

 

2chまとめサイトを検索したらこの事件に関する以下のまとめ記事が。

blog.esuteru.com

 

毎回この手の事件の後にやり玉にされるのがアニメだったり漫画だったりである(ポルノ、非ポルノ関係なく)。

私はアニメや漫画と性犯罪をリンクさせる議論がほんとにバカバカしいと思っている。

 

logmi.jp

上記の記事にも書かれているとおり、性暴力はマンガ・アニメ・ゲームの影響であると結論付けるのは全く持って不誠実であることがわかる。

アニメや漫画が偏見の眼差しで見られるようになった大きな原因はおそらく宮崎勤事件ではないだろうか。

宮崎勤は膨大な量の漫画やビデオを収集しており、その中に含まれていた性的・暴力的な漫画やビデオに悪影響を受けた結果、あのような犯行を起こす人間性が出来上がったと当時のマスコミは報じた。

この報道は影響が大きく、有害コミック騒動が活発化したほどである。

ただし

宮崎勤 - Wikipedia

にも書かれていると通り、実は宮崎勤はさほど性的・暴力的なコンテンツは所持していなかったことがわかっており、現在は宮崎勤人間性が漫画やアニメの影響で出来上がったという考えは短絡的だと指摘されている。

 

 

 

性犯罪と言えば未成年を狙ったケースが目立つが、例えば高畑裕太氏によるホテルの従業員に暴行を働いた事件も記憶に新しいと思う。

この高畑氏の事件の時も記者会見で「性癖は?」と訊いた記者がいたが、なんともそんな質問をして恥ずかしくないのかと思った。

 

 

性犯罪が起きれば必ず議論になるのが犯人の性癖や性欲なのであるが、これはもうなんとも的はずれな議論であることは性犯罪と性欲の関係を窃盗と物欲の関係に置き換えればわかると思う。

世の中のほとんどの人がお金が好きである。

ミニマリストとかヒッピーとかお金や物に縛られない暮らしを目指している人がいるが、彼らも皆「お金」を意識しているからこそ物を持たない生活をしているのである。

私も含めて世の中の人はお金をほしいと思っている。

では私達は「お金が手元にない。そうだ! 窃盗しよう!」という思考になるだろうか。

お金が必要だからその辺歩いてる老人殴って財布奪ったるわい! となるだろうか。

映画『凶悪』で人を騙して殺せば金になるってわかったから俺もいっちょやったるか!となるだろうか。

いや、ならない。

これは当たり前のことで、「お金が欲しい」ということと「犯罪をしよう」という思考回路は全く別だからである。

普通人間というのは「今ここでこんな行動を起こしたらリスクの方がでかいよな」と冷静に考えてしまう。

それは映画『ファイトクラブ』でタイラーが「町中でケンカをふっかけてこい。そして負けろ」と命令した下りで主人公も解説している。

「大抵の人間はケンカをさけるものだ」と。

つまり人間は感情的な行動よりも損得勘定を元に論理的に考える方に思考が及ぶのである。

だから、世の中のほとんどの人はお金が欲しくとも、窃盗やスリ、詐欺を行おうとしない。

 

 

それは性犯罪にも同様に当てはまる。

その辺を歩いている女児をどこか人気のないところに連れ去って、わいせつ行為をするなんてリスクの方が大きすぎる

前述の検査と称して自宅に侵入し女子中学生にわいせつな行為をすることもはっきり言ってリスクしかない

その場の性欲を満たすことはできても、人生をトータルで見た時に損失の方が大きい

それこそ自宅でエロ漫画を読んでいる方が割にいいだろう。

性犯罪に走ってしまう人は、性欲うんぬんよりももっと深刻な状態。

つまりまっとうな社会人として当たり前な論理的思考をすることができないのだ

メディアはここにこそ注目するべきであろう。

 

 

 このツイートにもあるように、性犯罪者はすでにある「性犯罪をしてでも自分の性欲を満たしたい」という欲求をポルノで補っているのだと思う。

 

性犯罪が起きた時に「なにかコンテンツの影響を受けた」と考える人がいるのはなぜなのか?

それは彼らが「なぜ事件が起きたのか?」を真剣に考えたくないからだ。

なぜ人は犯罪を犯してしまうのかを真剣に考えるよりも、何かを悪者にしてしまった方が手っ取り早い。

これは、下記の記事のように情報を鵜呑みにしてしまう人達がそういう情報を信じ、拡散するのだと思われる。

blog.tinect.jp

自分達が一つの情報に影響されやすい人間だから、他の犯罪を犯した人間も「なにかに影響されやすい人間なんだ。そうだ、性犯罪だからポルノだ! 女の子がきゃっきゃしてるアニメを普段から見てるんだ」と勘違いをしてしまうのだろう。

 

 

人間というのはそう簡単に欲と行動が結びつかないのである。

だからこそ行動心理学という学問があり、日々研究が行われている。

欲と行動がすぐに結びつくのなら、ユングデカルトゲーテも要らなかったのだ。

アニメや漫画の影響で犯罪者が出来上がるなんてほんとに信じてる人が少ない今、

私達は「なぜ人は犯罪をしてしまうのか?」を本気で考えないといけない

 

ーーーーーーーー追記ーーーーーーーー

 

 

 

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